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EFL Club ブログ

English school for children and young adults in Sapporo

英語習得の4つの柱:言語学習

「中学高校で6年間英語を習ったのに英語が話せない」や「ネーティブスピーカーにずっと教えてもらっているけど、大人の世界に通用できる英語を覚えていないし、もうすぐ中学校で英語の成績も心配」といった意見をよく聞きます。もちろん、生徒さんの能力や努力、英語を始めた年齢や習っている年数、先生の腕など色々な要素が関係していますが、たいていカリキュラムに大きな原因があります。本格的な英語能力を伸ばすためには、4つの学習分野を万遍なく取れ入れたカリキュラムに沿った指導を受けることがとても重要です。4つの分野とは言語学習、流暢さの促進、意味のあるインプットと意味のあるアウトプットです。

言語学習:英語の単語や文法などの言語知識を学ぶ。

②流暢さの促進:ネーティブスピードの英語を聞いたり、英語を早く話したり、読んだり書く練習をする。

③意味のあるインプット:多量の英語を聞いたり読む練習をする。

④意味のあるアウトプット:多量の英語を話したり書く練習をする。

※言語習得を研究するポールネーション博士がこの4つの能力を述べて、Four Strands「4筋」と呼んでいますが、私は英語能力を支える物としてイメージしているので、英語能力の4つの柱と呼んでいます。

どの先生も<言語学習>に重点を置いて、たくさんの単語や文法のルールなどを教えていると思います。でも、広く教えるだけではなく、深く教えることもとても大切です。単語をたくさん習っているのに使えない人が多くいますが、たいていの場合は単語を浅く勉強しているからです。単語を学ぶ時は意味、話し方、書き方と使い方をしっかり勉強しなければなりません。1つでも抜けていればその単語は使い物になりません。例えば、enjoy「楽しむ」という単語は日本で幅広く使われていますが、正しく使える人は少ない様に思えます。意味と書き方(綴り)はたいてい問題がありませんが、話し方(発音)や使い方に間違いが多いです。

発音はエンジョイかインジョイ(個人差あり)で、日本語の音に近いので比較的に発音しやすいです。でも単語の正しい発音に、音素1つ1つの発音だけではなく、アクセントや母音の弱化なども関係しています。Enjoyには弱化した母音はありませんが、アクセントが第2音節に入りますので、正しい発音はエンジョイではなく、エンジョイです。自然な話し方ができれば、文章の中でも聞き取れて、話す時も相手に通じますので、よい発音を身につけるのは大切なことです。ちなみに、日本人の英語が聞き取りにくい理由は、たいてい音素1つ1つの発音が言えないからではありません。単語のアクセント、弱化した母音の発音やリンキング(単語を繋げて話すこと)がうまくできないからです。

Enjoyの正しい使い方に品詞や連語が関係しています。Enjoyは他動詞なので、必ず目的語と一緒に使わなければなりません。例)enjoy cooking「料理を楽しむ」。また、myself, yourself(私自身、あなた自身)などがenjoyの目的語としてよく使われますが、日本語では「自分自身を楽しむ」という言い方をしないので、I enjoyed myself at the party(正しい)が I enjoyed at the party(目的語が抜けているため間違っている)になりがちです。

実は<言語学習>の分野をしっかり教えている先生は少ないです。日本人の先生の多くは、単語と文法をしっかり教えていますが、音韻学、正書法、機能と談話*の勉強が不十分のため、生徒さんは知識をたくさん知っているものの、使えません。一方、一般のネーティブスピーカーの先生は、英語は自然に話せますが、英語を外国語として教える方法は知りません。生徒さんは生の英語を聞いたり、話す機会はありますが、徹底的に指導してもらえないので、言語知識や応用性が身に付かず、なかなか初級レベルから抜け出す事ができません。*音韻学=音素の発音、母音の弱化、リンキング、抑揚などを含む自然な話し方の勉強;正書法=単語の綴りと発音を結びつける方法(アルファベットとフォニックスを含む)の勉強;機能=言語の機能(依頼、誘い、断り、命令など)とその機能を持つ表現の勉強;談話=パラグラフ、長文、会話などの結束性や辻褄(つじつま)の勉強。

英語のレッスンに通って挫折したり、金銭的や時間的な理由で独学を頑張る方はよくいます。私も日本語をたくさん独学してきましたので、効果があることはわかりますが、まず中心となるのはプロフェッショナルによる指導です。ゴルフが上手になりたい人は、プロのレッスンを受けて、姿勢、クラブの持ち方、打ち方などをしっかり勉強してからレッスンで学んだテクニックを磨くために打ちっぱなしに行きます。ゴルフのレッスンを受けずに友達に教えてもらったり、打ちっぱなしからスタートする人は当然いますが、間違ったフォームや打ち方を覚えてしまいがちで、後で直すのが大変だそうです。英語も一緒です。まずプロのレッスンを受けることをベースにして、独学も併せれば、成果が上がるでしょう。

言語学習>は4柱の1本にすぎません。ビルを支える柱が同じ長さではなければビルが崩壊すると同様に、言語習得の4柱が互いに支え合って、1つでも抜けていたり弱わっていると、全体的なコミュニケーション能力が弱くなります。それぞれの分野がカリキュラムの約4分の1を占めるべきだと言われています。

但し、知能がまだ未発達な乳幼児は違います。単語、文章、機能表現(決まり文句)、アルファベットなどを教えるのは特に幼児クラスには適していますが、内容と教え方を子どもたちの年齢に合わせることが大切です。EFLクラブでは単語と機能表現の意味と発音を幼児クラスで教えていますが、書き方や使い方にはまったく触れていません。文章も先生がモデルした後に子どもたちが真似して話す練習をするだけで、文法の観点からの勉強は一切しません。幼児クラスで教える内容をすべて小学生クラスで徹底的に教えますので、幼児クラスでは言語学習への導入程度のものに抑えて、ほかの能力を高めることに力を入れています。

乳児クラスではもちろん言語学習の勉強は一切ありません。英語が身に付いているかどうかを単語や文章を言わせて判断したくなる保護者の方がいますが、乳児は言語を違う方法で覚えるから(乳幼児の言語習得について別のブログで詳しく書く予定)、単語や文章を教えるのは無意味です。乳幼児とも言語学習の勉強よりもほかの分野の能力を磨いた方が後で高い成果を出しますので、焦って単語や文章を教え込むのは効果があまりありません。

たいていの大人は英語の学習に専念した指導を多く受けていて、残念ながら流暢さの促進と意味のあるインプットとアウトプットの分野における練習は十分にしていません。英語をしっかり覚えているのに、聞き取れなかったり、言葉が出てこないなどという人はいませんか?流暢さが欠けているからです。私も散々経験したことがあります(前回書いたブログの<私と日本語>をご覧ください)ので、共感できますよ!また、勉強中の英語の文章を1つか2つくらいなら聞いて(読んで)理解したり、話す(書く)ことができますが、映画や会話についていけなかったり、長文を読んだり書くのが苦手の人は、インプットとアウトプットの能力が不十分です。その場合は新しい単語や文法などの勉強に入らずに、まず流暢さ、理解力と意思疎通能力を伸ばして、能力のバランスを整える事が重要です。