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EFL Club ブログ

English school for children and young adults in Sapporo

英語習得の4つの柱:流暢さの促進

<英語習得の4つの柱:言語学習>のブログで単語や文法などをしっかり学ぶ必要があると述べましたが、4スキル(聞き・話し・読み・書き)における流暢さを身につけることもとても大切です。

一般的に英語の単語と文型をたくさん勉強した後に流暢さを高めるという順番になっていますが、せっかく習った英語がすぐに使えない、効率の悪い指導方法です。一方、英語を勉強しながら流暢さを高めていけば、知っている英語が少ないながらもそれを使ってコミュニケーションができます。そのためにネーティブスピードの英語を聞けて、流暢に話したり、すらすら読み書きができるようになるための特別な練習を定期的にする必要があります。

聞き・話し

「流暢さを促進する」リスニングのアクティビティーの目標は英語のストリーム(言葉の流れ)の中の単語を1つ1つ聞き取る能力を身につけることです。言語習得の臨界期がありますが、特に聞く能力は英語を始めた年齢に大きく影響されます。世界中の言語の音素(音)が認識できる1歳前から英語を始めたお子様は、大変有利です。赤ん坊が外国語の音素を聞き取る能力は世界中でたくさん研究されていますが、私たちも赤ん坊の聞き取り能力のすごさをよく実感します。

乳児コースの最大の目標は聞く能力を上げることです。先生はわざとゆっくり話したり、単語や文章を無理矢理に言わせたり、話す練習をしませんが、3〜4歳くらいになると、先生が乳児コースの時によく話していた英語を話し出すお子様がたくさんいます。例えば、先生がバッジを置いた場所を忘れて子どもたちに何気なく聞いた時に、1歳半から通い続けた3歳児が「on the board」と答えたそうです。先生が面白がってわざと色々な場所に置いて訪ねたところ、「on the table」や「on the book」などとすらすらと答えてくれたそうです。そのお子様は乳児コースでよく使っている「on the board」だけではなく、単語を入れ替えることまできました!しかも、語句でインプットされているため、「the」を抜かさずに言いました。

私も同じような経験をしたことがあります。幼児クラスのレッスンの始まりで子どもたちに天気を聞いたら、「Look out the window!」(窓の外を見て!)と言われました。まさに「そんな怠けないで、自分で見てみろよ!」というような表現で言われましたので、思わず笑ってしまいました。やはり乳児コースから通い続けたお子様でした。このような逸話がたくさんあります。

乳児から通い続けている子どもたちは聞き取り能力が高いので、幼児コースから教える単語や簡単な文章の細かいところまで聞こえるため、発音能力も高いです。例えば、「I like dogs.」の複数形の「s」まで言います。聞き取り能力はそこまで高くない子どもたちは「I like dog.」と言いますが、「s」に力を入れてもう一回モデルしたら言えることが多いので、言えない訳ではありません。聞こえないのです。個人差は当然ありますが、乳児コースで英語を始めたお子様の聞き取り能力は本当に高いです。

ただし、乳児から英語を始めなかったら、高い聞き取り能力を諦めるしかないということは一切ありません。中学生から始めたお子様でもよく聞き取れる人はいますが、英語を始めた年齢が遅ければ遅いほど難しくなるのは間違いありません。言い換えれば、高い聞き取り能力を身につけることができないリスクが高くなるのと、相当な努力が必要になってきます。

英語は特に聞こえにくい理由がいくつかありますが、その中で最も関係しているのは文章のストレス、弱い形(文法の役割を持つ単語の母音が曖昧になること)とリンキング(音節や単語を繋げて話すこと)です。ストレスとは文章の中の特定の単語をより高く、長く、強く言うことです。従ってストレスの入らない単語を低く、短く、弱く言います。この多くの場合は文法の役割を持つ単語(it’s, to, your, theなど)で、弱い形になるため、尚更聞こえにくくなります。ストレスのレベルもありますので、最も強くいう単語(第1強勢)とその次に強く言う単語(第2強勢)があります。例)I want to go shopping for my friends on the weekend.(赤=第1強勢、青=第2強勢)。

聞き取り能力の低い人は、「shop」と「friend(s)」が聞きとれても「want」が「to」に繋がるため「to」の「t」がなくなり、「o」が曖昧母音に変わりますので、認識しにくいです。また、「weekend」は第一強勢を受ける単語で聞こえがいいはずなのに、「week」の「k」と「end」の「e」がリンクするため、「ウィークエンド」として発音する人は「ウィーケンド」が認識できない場合が多いです。聞き取り能力がいい人なら、ストレスの入る単語がすべて聞こえます。ストレスを受ける単語は通常意味を持つ単語なので、さっきの文章を見ますと、「ほしい/したい」、「買い物」、「友達」と「週末」が聞こえやすいので、「週末に友達と一緒に買い物したいです。」という意味が取れるでしょう。

でも聞き取り能力が優れている人は、文法の役割を持つ単語や細かい音もよく聞こえますので、より正確に理解できます。既に気づいているかもしれませんが、「friend」ではなくて「friends」となっています。複数形の「s」が聞こえることによって、友達が1人以上ということがわかります。また、「with my friends」ではなくて、「for my friends」になっていますので、「友達のために買い物がしたい」という意味です。聞き取り能力が優れている人はすべての単語が聞こえるのでより正確に理解できるという訳です。

言うまでもありませんが、聞き取り能力が高い人は発音もたいてい良いです。逆に言えば、聞き取り能力が高くない人は発音が良くなる可能性は非常に低いです。<流暢さの促進>の分野では、ネーティブスピードの英語を聞くトレーニングと流暢に話す(口が回る)トレーニングをします。乳幼児の場合は言語の達人なので、英語のみの環境にさえ毎週入れば、特別なトレーニングは不要です。でも小学生からは、外国語を吸収する能力が急激に下がりますし、習う英語が長く複雑になってきますので、流暢さのトレーニングが必要となります。

小学1年生のお子様でも流暢さを高める練習ができます。例えば、<言語学習>の分野で以前習った英語を使って速く話す練習ができるタイムド・スピーキングという、競争心をくすぐる人気の高いアクティビティーがあります。生徒さんは先生か自分で用意した内容を相手に話し、先生が時間を計ります。今度は1回目のタイムを基準にタイムリミットを少し短く設定し、もう一度話し、3回目はさらに短くしたタイムリミット内で話します。先生の前で言うのではなく、ペアを組んでお互いに準備した内容を言います。2回目、3回目はパートナーをチェンジしてやります。新鮮さがありますし、模擬会話の練習にもなります。このアクティビティーを通して、生徒さんが知っている英語を速く滑らかに言える様になります。ちなみに、1度目で間違えたところを先生ではなく、自ら直して、2回目、3回目は正しく言えるようになるお子様もいます。

読み書き

もちろん、聞き話し以外にも読み書きの流暢さを身につけることはとても重要です。早く読めたり書けると、小説、海外の漫画、インターネットなど、英語が一層楽しくなりますし、レッスン以外の時でも英語に触れることができます。また、将来のキャリアにも大変役に立ちます。

でも、読み書きは自然と身に付く能力ではありません。聞き話しは環境から学びますので、乳幼児は特に子どもたちは生の英語を週1回でも聞くだけで聞き話し能力が自然と身に付きますが、読み書きは学習する必要があります。外国語だけではなく、母国語でも同じです。 ナチュラルスピードの日本語が聞けない人、ぺらぺら話せない人はいないでしょう。でも、読み書きができない人や得意じゃない人はたくさんいます。

最近、人間が読む時のメカニズムがよく研究されていて読むのが早い人の特徴が正確にわかってきました。昔、読むのが速い人は意味のある単語(犬、赤、泣くなど)だけを読んで、文法の役割を持つ単語(まで、を、そのなど)を飛ばすとされていましたが、コンピューターと目の動きを計る機械を使って、母国語の長文を読む参加者の目の動きを観察して、読むスピードを計る実験でリーディングの実態がわかりました。

読むのが上手な人は約95%の単語に目が一回留まります。飛ばしながら読んでいる訳ではありません。また、目の左から右へ(言語によって上から下へ)の動きはスムーズではなく、単語から単語へと小さなジャンプして動いています(これを読んでいる人は今自分の目の動きを確かめていませんか?笑)。ジャンプした後に留まった単語に目の焦点を合わせるのに最短0.2秒かかりますので、どんなに速い人でも身体的に1分に300語までしか読めません。もちろんここでは通常のリーディングのことを述べていて、単語を飛ばしながら意味を想定するスピードリーディングは焦点を合わせる回数が少なくなるためもっと速く読めます。どの人でも単語を読み間違えたり、内容が理解できなかったために、既に読んだ部分をもう一度読み直すことがありますが、読むのが上手な人でも、100語を読んだうちに15回読み直します。

では、読むのが遅い人はどうでしょう?遅い人は、目が0.2秒以上長く単語に留まったり、ジャンプが必要以上多くなったり、読み直す回数が15回以上あったりするなど、スピードを落とす要因が多く見られます。目が単語に留まる時間が0.2秒以上長い原因は、単語の意味や読み方を思い出すのに時間がかかるからです。単語の認識(瞬間的に読む能力)が低い人は、目が単語から単語へとジャンプするのではなく、音節から音節へ、文字から文字へと動いて読みます。 特に低い人(外国語の初心者や、母国語の文字を習い始めた幼稚園児など)の場合だと、文字の部分を確認しながら読む事が多いです。例えば、丸みが左なのか(d)右なのか(b)、点があるのか(お)ないのか(あ)。そうすると1つの単語を読むのに、2、3、4回以上でもジャンプする必要があります。文字、音節や文字の部分に目が留まる度に、目の焦点を改めて合わせ直す必要がありますので単語を読むのに0.5秒、1秒、2.5秒などと長くなります。当然読むのが遅い人は全体の理解が低くなるため、読み直す回数が増えるので、読むスピードがさらに落ちます。

ということで、読むこと(従って書くこと)が得意じゃない主な理由は、文字の認識が低いことです。運動能力が高い人、低い人、音楽の才能が高い人、低い人などの様に文字の認識は人によって異なります。子どもを対象とする仕事を15年間してきて、文字の認識を含むすべての才能は生まれつきのものであることがわかってきました。幸いスタートラインはみんなそれぞれ違いますが、努力すれば高める事は可能です。

但し、できることが好き、できないことをしたがらない、というのが人間の特徴です。文字の認識能力が高くない人は文字が好きじゃないので、読み書きをやりたがりません。また文字の認識が高くないと読むスピードが遅く、遅いと読んだ内容の理解が低くなります。そのために読書の楽しさをなかなか味わえなくて、自ら読もうとしません。そして、あまり読まないから文字の認識が高くならないという悪循環になります。当然上手に読めない人は上手に書けませんし、学校の勉強に苦労する人も多いです。

今までの話は母国語を読む実験の研究結果ですが、外国語を読むこともまったく同じ過程です。母国語、外国語を問わず、流暢に読む能力はとても貴重なスキルです。乳幼児コースはもちろん読み書きのトレーニングはしませんが、小学生コースの<言語習得>の分野でアルファベットとフォニックスを勉強し、フォニックスで読み解けないよく使う単語をある程度暗記しますので、文字の認識と単語の認識(読み方が瞬間的にわかること)をしっかりと身につけておいてから、<流暢さの促進>の分野に入り、滑らかに速く読む練習を始めます。話せるようになる前に聞く能力を身につけると同様、すらすら書く練習を始めるタイミングはある程度すらすら読めるようになってからが最適なので、小学生の高レベルのクラスから取り入れています。

聞き・話し・読み・書きを問わず、流暢さを促進する練習は必ずと言っていいほど、繰り返す練習が多く含まれますので、長期記憶を作る作用もあります。長期記憶を作るほかに、メモリーバンクへのアクセスがスムーズになりますので、単語を聞いたり読んで意味を思い出すまでの時間が短くなります。また、英語を話したり書く時は必要な単語を思い出すスピードも速くなりますので、次回のブログで説明する「意味のあるインプットとアウトプット」に必要なスキルが獲得できます。